赤外線LEDとフォトトランジスタとで信号授受

歌う電車プロジェクト

 無音で走る鉄道模型(Nゲージやプラレール)に、もうちょっとリアリティを持たせたいということで始めた、歌う電車プロジェクト。予備実験が終わりましたので、その紹介です。

赤外線の検出がうまくできるか

 レール上にチップ型の赤外線LEDを配置し、模型車両床下部には赤外線センサーを設置します。地上のLEDの真上を通過した瞬間にセンサーが赤外光を検出できれば、これをマイコンへの入力信号とし、次のアクション(LED発光させるとか、スピーカーから音を鳴らすとか)を開始するトリガとして活用できそうです。ただし、下の画像のように、鉄道模型はLEDがある地点で停止する訳ではないので、実際の走行を模擬した時に検出できるのかが課題です。

赤外線LEDのほぼ真上に赤外線センサーが通過する様子
赤外線LEDのほぼ真上に赤外線センサーが通過する様子

 レール側の試作品は、赤外線LEDをNゲージレールに組み込み、の記事で製作したものです。車両は、フォトトランジスタを鉄道模型に組み込む、の記事で製作したものを使いました。

回路図

 回路図を下に示します。プラレールあるいは模型車両に搭載する電池としてはA5サイズの12V電池(小さなボタン電池の場合、電圧が3Vなので、5V入力ができず使用不可)を用いる予定ですが、今回の予備実験では、12V鉛電池を使いました。

 Nゲージ線路ではレールに12Vが供給されていますが使いません。独立した作動するようにしたいからです。プラレールの場合はそもそもできませんし。

 フォトトランジスタにかかる電圧をマイコンの入力値として利用するため、 R4とR5とで分圧し、フォトトランジスタに4V強の電圧がかかるようにしました(きっちり5Vじゃなくても、4V強あれば大丈夫かなぁという感じで抵抗を選んでいます)。R2は、電流検出のために設置したシャント抵抗です。

 レール側の赤外線LEDですが、下記の構成で20mAが流れています。

回路図
回路図

 今回の準備実験の目的は、赤外線を検出できたとして、フォトトランジスタの電圧が4V以上(=デジタル入力としてのHIGH)から0.5V以下(デジタル入力としてのLOW)に変わるのか確認することです。そこで、上記の回路図の中に、Arduino UNOを追加しました。その回路図を下に示します。

Arduinoを組み込んだ回路
Arduinoを組み込んだ回路

 フォトトランジスタの電圧は、INPUT_PULLUP設定されたデジタルポートに接続してあります。こうしておけば、赤外線照射がないところでは、このデジタルポートは常にHIGHとなります。

Arduinoのスケッチ

 ループブロックで、常にフォトトランジスタの電圧を監視し、フォトトランジスタが赤外線を受光して電圧がLOWレベルになったらLEDを5秒間ONにする、という流れになります。

Arduino のスケッチ
Arduino のスケッチ

実験結果

 結論から書きますと、できました!模型を手で動かして走行を模擬した条件で、フォトトランジスタは赤外線を検知し、フォトトランジスタにかかる電圧がLOW(0.2V程度)となって、LEDの点灯を確認できました。サンプリング間隔が長くて検出できないのでは、との懸念がありましたが、全く問題ありませんでした(データロガーのサンプリング間隔は50ms)。

 予備実験の結果を説明します。下の図(左側)は、フォトトランジスタ(Q1、青いプロット)と、分圧抵抗(R4、赤いプロット)との電圧挙動を示しています。赤外線を検知したところで、フォトトランジスタの電圧は瞬間的に0.2V付近まで下がっていることが分かります。同時に、R4電圧は12Vまで上昇し、ほぼ想定通りの挙動でした。

 ちなみに、フォトトランジスタが受光した時の電流をモニタしたのが下図(右側)です。最大で約8mA流れることが分かりました。

実験結果
実験結果

 実験した時の映像はこちらです。最初に紫色に見えるのは赤外線です。デジタルカメラによってはこのように赤外線をキャッチしてくれる素子を搭載したものがあり、分かりやすいです。

テストの様子

分かったことと今後

 今度はマイコンから音を出す仕組みを作り、それを今回のLEDと置き換えて、実験していきたいと思います。これから面白くなっていきそうです。歌う電車ができるまでもう少し!
(2019年3月19日 記)

部品リスト

  • Vcc(12V) : LONG 鉛電池
  • D1 : 赤外線LED (型番: OSI5LAS1C1A )
  • Q1: フォトトランジスタ(型番: NJL7112B )
  • R1 : 電流制限抵抗(実測値 : 469Ω)
  • R2 : シャント抵抗(実測値 : 2.6Ω)
  • R3 : 電流制限抵抗(実測値 : 150Ω)
  • R4 : 分圧抵抗(実測値: 3.95kΩ)
  • R5 : 分圧抵抗(実測値 : 1.99kΩ)
  • [道具] GRAPHTEC社製 データロガー GL820

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